おとり物件を見分ける5つのポイント

2019.02.21

今日は、僕が不動産会社に入社してから1番多くご相談をもらった話についてコラムに書きたいと思います。いわゆる、「おとり広告・おとり物件」のご相談です。

「とある不動産会社のインターネット広告はおとり物件だらけで困った」や、「遠方から物件の見学をしに行ったのに最初から空いていない物件だった」などたくさんのご相談をいただきました。

僕は個人的に、お部屋探しは時間とタイミングが何よりも大切だと思っているので、みなさんの時間を無駄にしてしまう「おとり広告・おとり物件」は大嫌いです。
おとり物件で時間を無駄にしている方は、けっこう多いと思いますので、「おとり物件」の状況と回避策をプロの目線から解説したいと思います。

■おとり物件とは


まず、「おとり物件・おとり広告」という言葉を聞き慣れない方も多いかと思いますので、少し用語解説をします。

【※おとり物件とは…】
実際には無い物件のことを言います。“無い”といっても実際に存在しない物件だけでなく、既に入居が決まっていて紹介できない物件や、実際よりも家賃などの条件を安く表示していて、その条件では住めない物件のことも含まれています。

おとり物件の種類

①そもそも実在しない物件
いわゆる架空物件で、存在すらしません。最近では、ほとんど見かけなくなりました。

②実際の条件と違っている物件
(家賃や立地を実際よりも良いように表示している)
本当は礼金が必要なのに礼金不要で表示をしたり、駅までの距離が実際より近く表示したりされている物件です。

③実際には取引ができない物件
(決まっている物件)
すでに他の人で入居が決まっている物件や家主さんが貸すつもりのない物件です。
これが最も多いタイプのおとり物件です。

不動産業界では、いまだにこのようなおとり物件を使って来客を促している悪質な業者が多く存在します。日経ビジネスに掲載されていた記事(2016年12月12日号)によると、40%以上もの物件が成約済みにもかかわらず、ネットに掲載されていたようです。(※株式会社イタンジ調べ)

厳密に言うと、成約済み物件=おとり物件ではないので、ハッキリとした数字は分かりませんが、想像以上のおとり物件が蔓延しているようです。

【合わせて読みたい】
⇒空いていない物件がネットに載っている!?お部屋探しの不思議
⇒「徒歩○○分」は嘘!?チェックしておきたい物件から最寄り駅までの所要時間

なぜそんなことをするの?

(※タップで拡大)

なぜ悪質な不動産会社はこんなことをしているのかというと、契約してもらうためにお客さんを店舗に呼び込むためです。不動産仲介業は契約の時に手数料が発生するビジネスなので、契約を取るために必死です。契約を取るためにはお客さんの来店率がとても重要ですから、なりふり構わず来店を促しているようです。なんとも身勝手で迷惑な理由ですね。

また発覚した時の罰則が甘いという点も大きいようで、業務停止処分などはめったに執行されないので、それを逆手にとり、悪意を持っておとり物件を掲載している不動産会社もあるようです。

■おとり物件の見分け方


ではどんな物件が「おとり物件」なのか、
その特徴と見分け方をお伝えしたいと思います。
みなさんの大切な時間を無駄にしないために、役立てば嬉しいです。

①他の物件と比べて好条件過ぎないか

「名古屋駅から徒歩5分、1LDKで80,000円、築浅!」
このような物件はかなり怪しいですね。
不動産の価格は基本的に相場から逸脱しません。相場より安い物件には安いなりの理由があります。
あまりにも好条件過ぎる物件はおとり広告の可能性が高いです。

家賃相場はご自身でも調査することができます。HOME’Sが提供している相場チェッカーが見やすくておすすめです。
家賃相場チェック:HOME’Sの家賃相場

②取引態様をチェックする

取引態様とは広告している不動産会社が大家さんとどういう関係なのかを表していて、必ず表示しなければなりません。
例えばスーモだと種類は4種類あり、

貸主
言葉の通り不動産会社=大家本人です。
その不動産会社が所有している、もしくはサブリース(一括借り上げ)の場合に表示されます

②代理
大家さんの代理人の立場です。
大家さんの代わりに契約書の押印をしたり、ほとんどの実権を持っていて、ほぼ大家さんです。

③仲介元付
大家さんから直接、募集の依頼をされている不動産会社です。
代理ほどではないですが、大家さんと近い距離にいます。

④仲介先物
上記3つの不動産会社から又依頼をされている不動産会社です。
大家さんとの距離はもっとも遠い位置にいます。

おとり広告のほとんどが「仲介先物」です。
仲介先物の物件が全て悪いわけではありませんが、大家さんとの距離が遠くなればなるほと、おとり物件の可能性が高くなります。

おとり物件かどうかの信用度で言えば、
貸主≧代理≧元付≧(越えられない壁)>先物
と、思ってもらってOKです。

③他の不動産会社でも紹介しているかどうか

先程の取引態様が「仲介先物」になっているのに、1つの不動産会社だけが広告を出している場合はおとり広告の可能性が高いです。
代理や元付の不動産会社だけが広告を出している場合は、専任物件の可能性がありますが、仲介先物の場合は説明が付きません。

④電話問い合わせした時の反応

これも「仲介先物」の場合ですが、電話で空室の問い合わせをした時に、即答で 「まだ空いてます!」と言われた場合は注意が必要です。

「仲介先物」の場合、情報の流れ上、空室情報はその都度確認する必要があります。
その空き確認をせずに「空いています」と答えがあった場合はおとり物件で来店させようとしている可能性があります。

⑤現地での待ち合わせが可能かどうか

直接現地で待ち合わせて内覧を希望した時に、
「来店してからじゃないと見せられない」や「家主さんの希望で現地の待ち合わせは禁止されている」と言われた場合はおとり物件の可能性が高いです。

実際には見学ができないおとり物件なので、「来店してからでないと見せられない」というセリフは、おとり業者の常套句です。

ちなみに僕はこの業界に10年近くいますが、家主さんから現地の待ち合わせ禁止と言われたことは1回もありません。
個人的には、この方法が1番わかりやすく確実な方法だと思います。

Ex)契約の種類をチェックする

おとり広告とは少し違うので、少し本題と逸れてしまう内容ですが、
「思っていた内容と違う!」とならないように、契約の種類にもお話させていただきます。

賃貸の契約形態には2種類あり、「普通借家契約」と「定期借家契約」があります。
定期借家契約というのは期限が定められた契約で、その期限になると契約が終了し、更新ができません。

定期借家契約の物件は、普通より家賃が安く設定されることが多いので、掘り出し物件に思われがちですが、実際は短期間しか住めないということもありえます。

■まとめ

引っ越しをする時はみなさんにとって、生活が変わるとても大事な時期だと思います。
きっとお部屋探し以外にもやらなければいけないことがたくさんある忙しい状況でしょう。
そんな大事なタイミングをおとり広告に惑わされて無駄にしてほしくありません。

おとり物件に惑わされるとお部屋探しの難易度が一気に跳ね上がりますし、おとり広告を出しているような不動産業者とお部屋探ししても、良いお部屋は絶対に見つからないと思います。

そもそも業界的な問題なので、不動産会社に勤務している立場としては、とても恥ずかしい状況なのですが、1日でも早くおとり広告が撲滅されるように、これからも情報を発信していきたいと思います。

ここまで読んでいただきありがとうございました!
少しでもみなさんの役にたつことができたら嬉しいです。
また次回のコラムでお会いできることを楽しみにしています!

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この記事を書いたスタッフ:
鈴木 誠也 SEIYA SUZUKI

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